
社会保障審議会介護保険部会答申に対する声明
12月25日厚労省社会保障審議会介護保険部会において、審議会答申「介護保険制度の見直しに関する意見」が採択されました。
私たち「ケア社会をつくる会」が一貫して反対してきた3大改悪案、① 利用者負担2割への引き上げ、② ケアプラン有料化、③ 要介護1・2の総合事業への移行(保険給付外し)はすべて先送りになりました。すでに2021年8期改定期、2024年9期改定期に「先送り」を勝ち取りましたので、今回の先送りも各方面からの幅広い抗議の声に一定の成果があったものと判断します。
しかし、今回の答申には、深い憂慮を表明せざるをえません。最大の課題であった「利用者負担原則2割」は、「一定基準以上の所得対象者への拡大」に置き換わったものの、その基準は年収230万以上(単身世帯)というきわめて厳しいものです。加えて1割負担への軽減の条件として預貯金300万円以下(単身世帯)の申告を求めるという、高齢者を丸裸にするもの。「給付と負担のバランス」の名において、この検討課題について、2027年10期改定期までには結論を出すという時限が設定されました。最終答申まであと1年。そのあいだに、高齢者は負担増の不安のもとに戦々恐々と過ごさなければなりません。
これまでも負担増のたびに利用控えが起こり、利用者の生活と事業者の経営を共に圧迫してきました。利用者負担の変化に伴う高齢者の生活実態が明らかにならない限り、この負担増を認めるわけにはいきません。私たちは責任のある主体による信頼できる利用者の生活実態調査をつよく求めます。原則に立ち返れば介護保険は保険者と被保険者との契約にもとづくもの。所得水準にかかわらず当初の1割負担が2割負担に変わるような一方的なルールの変更は認められません。
それだけでなく人材不足が言われながら介護報酬の抜本的増額については触れられていません。一時的な介護職の処遇加算ではなく、報酬増を求めます。
また審議の過程で、中山間地域に対する包括報酬の導入は、中山間地域にとどまらず人口減少地域全体に拡大されかねないこと、補足給付の削減、介護事業所の種別、「施設に準ずる」として住宅型有料老人ホームにおいてケアプランの有料化をはかること、保険料負担の逆進性等々、介護保険をめぐるさまざまな課題が明らかになってきました。次期改定期に向けて、私たち「ケア社会をつくる会」は、引き続き改悪案の「先送り」ではなく撤回に向けて、闘い続けることをここに表明します。政府および政治家、そして審議委員のみなさまにおいても、「まず社会保障費の削減ありき」の姿勢ではなく、介護保険の原点に還って、すべての人の高齢期の安心・安全を守ることを心から要望します。
2025年12月27日
ケア社会をつくる会
